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クマ吉


13歳の誕生日前日、今日も喧嘩をする両親。
ここ1年くらい何度も両親の喧嘩を見てきた。
その度に癒してくれたのは『クマ吉』だった。
なにも言わず、私の話を聞いてくれる。
2歳の誕生日に貰った当時の私と同じ大きさのクマのぬいぐるみ。

その日も泣きながらクマ吉に話しかけていた。
私は そのまま寝てしまった。


「誕生日おめでとう」
どこからか声が聞こえた。
「ボクだよ。クマ吉だよ。いつも大切にしてくれて ありがとう」
「えっ、なんで喋れるの?」
驚いた私は言った。
「そんなことはいいから お話しようよ」
そう言うとクマ吉は私の話を聞いてくれた。
いつもと違うのはクマ吉が喋っていることだ。

私の幼い頃の話、初恋の話、クマ吉との思い出話。
そして両親の喧嘩の話。
...何時間もクマ吉と話した。

そしてクマ吉が言う。
「そろそろ お別れの時間だよ」
「なんで?ずっと話してたいよ」
と、私が言うとクマ吉が寂しそうに言った。
「...さよならしなきゃ」



 私  「さよなら?」
クマ吉「うん、お別れなんだ」
 私  「もう喋れなくなるの?」
クマ吉「もう会えないんだ...」
 私  「そんなの嫌だ。いつも一緒だったでしょ」
クマ吉「...ゴメン」
そう言い残しクマ吉は消えてしまった。


...気がつくと病院のベッドの上にいた。
両親が泣いてる。
家が火事になり私はひどい火傷で丸1日 目を覚まさなかったらしい。
近所で起こっていた連続放火犯の仕業だった。

家は ほとんど燃えてしまい、クマ吉も燃えてしまった。
クマ吉がくれた誕生日プレゼント【最高の思い出】
13歳の誕生日は1日中クマ吉と話していたんだ。
それが夢でもいい。
クマ吉との最後の思い出だから。

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